AI · 9 August 2026
RingCentral、AI活用で顧客経済性が改善 NRR100%超に
RingCentralの2026年第2四半期決算で、AI関連収益が前年同期比で倍増し、ネットレベニューリテンションも100%を上回った。
何が起きたか
RingCentralが発表した2026年第2四半期の業績で、AIおよびAI関連機能に紐づく収益が前年同期比で倍増したことが明らかになった。同時に、顧客が既存契約からどれだけ収益を維持・拡大しているかを示すネットレベニューリテンション(NRR)も100%を上回り、既存顧客がサービスを縮小するどころか、利用を拡大し続けていることを示した。
CX Todayの報道によれば、これはRingCentralが提供するAI機能が、単なる試験導入や付加的なオプションの段階を超え、企業の日常業務フローに組み込まれた「前提条件」として定着しつつあることを示す動きだという。AI機能の利用が収益成長とリテンション向上の両方に直結している点が、今回の決算で強調されている。
なぜ重要か
カスタマーエクスペリエンス(CX)の観点から見ると、この結果は「AI機能を追加すれば顧客が離脱しにくくなる」という単純な話ではない。むしろ、AIが業務プロセスの中核に組み込まれることで、顧客側の切り替えコスト(スイッチングコスト)が実質的に上昇し、契約継続と追加利用が自然な行動として定着している可能性を示している。
行動経済学的に見れば、これは「現状維持バイアス」や「習慣化」による定着効果とも解釈できる。一度AI機能を業務フローに組み込んだ顧客は、それを手放す心理的・実務的コストが高くなり、結果として解約率の低下や利用拡大につながりやすい。サービス設計を担う立場にとっては、AI機能を「単発の付加価値」としてではなく、「顧客の日常業務に根付かせる仕組み」として設計する視点の重要性を示す事例といえる。
数字で見る
- 前年同期比で倍増:AIおよびAI関連収益の成長率(2026年第2四半期、前年同期比)
- 100%超:ネットレベニューリテンション(NRR)の水準
Renascenceの視点
今回の数字が示しているのは、AI導入の成否を測る指標が「導入率」から「定着率」へと移行しつつあるという点だ。多くの企業がAI機能の搭載数や利用開始数を成果指標として掲げがちだが、真に問うべきは「顧客がそれを日常業務から外せなくなっているか」である。
RingCentralの数字が本当に示しているのは、AIが「便利な追加機能」から「業務インフラの一部」に格上げされた瞬間だ。ここで見落とされがちなのは、この定着はブランドへの忠誠心ではなく、単純に切り替えコストの上昇によって生まれているという点。顧客体験を設計する側が本当にすべきことは、AI機能を目立たせることではなく、それが顧客の既存ワークフローにどれだけ「摩擦なく」溶け込むかを測定し続けることだ。定着率が高いからといって満足度が高いとは限らず、そこを混同すると次の解約の波を見誤る。
Sources
This briefing was written by our Newsdesk, synthesising reporting from the outlets below. Follow the links for the original coverage.
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