ブランドエクスペリエンス · 2026年8月25日
KFCマレーシア、50周年で体験型ブランド施策を初展開
KFCマレーシアがVML Malaysiaと組み、事業50周年を記念した初の体験型ブランド施策を発表。歴史を一方的に展示するのではなく、来場者が能動的に関与できる空間として設計した。
何が起きたか
KFCマレーシアと現地のクリエイティブエージェンシーVML Malaysiaが、同社にとって初となる体験型ブランド施策を発表した。KFCがマレーシアで事業を展開して50年を迎えたことを記念し、これまでのブランドの歴史を単に振り返るのではなく、来場者が参加・体験できる空間として再構築した点が特徴である。
この取り組みは、企業のヘリテージ(歴史・伝統)を静的な展示や広告的なメッセージとして伝えるのではなく、五感を通じて体感できる形に翻訳したものであり、KFCマレーシアにとって「ブランド体験」領域への本格的な投資という位置づけとなる。
この施策が重要な理由
今回の事例は、老舗ブランドが半世紀分の歴史という資産を、どのように現在の顧客との関係構築に転換できるかを示す好例である。単なる周年記念のキャンペーンではなく、来場者が能動的に関与できる設計にすることで、ブランドへの理解を「知識」として提供するだけでなく、「感情的な結びつき」として体験させようとする狙いが読み取れる。
サービスデザインの観点では、こうした体験型施策は顧客ロイヤルティを価格やポイントなどの機能的インセンティブから、記憶や感情に基づく関係性へと移行させる手段として位置づけられる。長期にわたり事業を継続してきたブランドが、自社のストーリーを一方的に語るのではなく、顧客がその物語の一部になれる仕組みを設計する動きは、他の業界のブランド戦略やCX設計にも参考となる視点を提供する。
Renascenceの視点
周年記念の施策は多くの企業が実施するが、その大半は「振り返り」に終始し、顧客の能動的な関与を設計しないまま終わってしまう。KFCマレーシアとVMLの取り組みが注目に値するのは、ヘリテージを一方的な情報発信ではなく、参加を前提とした体験設計として組み立てている点である。
多くの企業は周年記念を「感謝を伝える機会」としてしか捉えないが、本当に価値があるのは、その歴史を顧客自身の体験の中に組み込むことだ。行動経済学的に見れば、人は自分が「参加」した出来事をより強く記憶し、そこに感情的な意味を付与する。ヘリテージを展示するのではなく、顧客に「体験させる」という発想の転換こそが、この施策の核心である。中東・GCC地域で長い歴史を持つブランドや公共機関も、周年記念や創立記念を単なる広報イベントとして消費するのではなく、顧客や市民が実際に関与できる参加型の体験として再設計することを検討する価値がある。
情報源
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