カスタマーサービス · 2026年9月30日
LG Uplus、待ち時間ゼロ目指す「AIネイティブ・コンタクトセンター」戦略発表
韓国LG Uplusは、AIを応対プロセスの起点に据えて待ち時間そのものをなくす「AIネイティブ・コンタクトセンター」戦略を発表した。従来の順番待ち前提の自動化から、問い合わせ発生時に即時処理する運用モデルへの転換を目指す。
何が起きたのか
韓国の通信事業者LG Uplusが、コンタクトセンターの中核にAIを組み込む「AIネイティブ・コンタクトセンター」戦略を発表した。既存の問い合わせ対応フローにAIを後付けで導入するのではなく、待ち時間そのものをなくすことを目指す設計思想を掲げている点が特徴だ。
同社は、従来型の自動化が電話やチャットの「順番待ち」を前提とした業務プロセスにAIを付加する発想であったのに対し、今回の戦略はAIを応対プロセスの起点に据えることで、顧客が列に並ぶという体験自体を構造的に解消しようとしている。
なぜ重要なのか
コンタクトセンター運営において「待ち時間の短縮」は長年の課題だったが、多くの企業はオペレーターの増員やIVR(自動音声応答)の改善といった対症療法にとどまってきた。LG Uplusの取り組みは、AIを応対チャネルの前面に置くことで、問い合わせが発生した瞬間に処理が始まる設計へと運用モデルそのものを転換しようとする点で、通信業界におけるカスタマーサービスの捉え方の変化を示している。
これは単なる自動応答の高度化ではなく、コンタクトセンターの組織構造・人員配置・KPI設計にまで踏み込む可能性を持つ動きであり、AIをオペレーション全体の前提として組み込む「AIネイティブ」という発想が、通信・サービス業界で具体的な戦略として語られ始めていることを示す事例といえる。
Renascenceの視点
待ち時間対策の多くは、実際には「待たせ方」を改善しているに過ぎず、待つという行為自体を前提としている。LG Uplusの発表が示唆的なのは、AIを応対の「入口」に据えることで、そもそも列に並ばせない設計を目指している点だ。これは行動経済学的にも重要な違いで、顧客の不満は待ち時間の長さそのものよりも、不確実性や無力感から生じることが多い。
多くの企業はコールセンターのKPIを「平均応答時間」で測るが、それは問題の症状を測っているにすぎない。本質的な問いは「なぜ問い合わせが列を作るのか」であり、AIネイティブ設計の狙いはまさにそこにある。顧客対応をコスト削減の対象としてではなく、顧客の不確実性を減らす仕組みとして再設計できる企業だけが、この戦略転換から本当の差別化を得られるだろう。
情報源
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