マーケティング · 2026年9月9日
Kohl's、初の最高顧客責任者を新設 CX強化へ組織再編
Kohl'sが初代CCOを新設し、最高デジタル責任者Arianne Parisi氏を任命。ロイヤルティ・パーソナライゼーション・マーケティングを一つの指揮系統に統合する。
何が起きたか
米大手百貨店チェーンのKohl'sが、同社にとって初めてとなる最高顧客責任者(Chief Customer Officer)を新設し、現職の最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)であるArianne Parisi氏を任命した。これにより、ロイヤルティプログラム、パーソナライゼーション、マーケティングという従来分散していた機能が、一人の経営幹部のもとに統合される。
この人事は、Kohl'sが顧客体験(CX)をより経営の中核に据える方針を明確化する動きとして位置づけられている。デジタル領域を統括してきたParisi氏が新職務を兼ねる形となり、デジタルとCXの垣根を取り払う組織再編と見ることができる。
なぜ重要か
ロイヤルティ、パーソナライゼーション、マーケティングを一つの指揮系統に統合することは、顧客が受け取る体験の一貫性を高める狙いがある。これらの機能が別々の部門に分かれていると、顧客データの活用やメッセージングに断絶が生じやすく、結果として顧客一人ひとりに最適化された対応が難しくなる。今回の統合は、そうした組織的な分断を解消し、顧客視点で意思決定を行う体制を整える試みといえる。
小売業界全体で、テクノロジーとCXの責任が同一人物に委ねられる事例が増えている点も注目される。デジタル基盤とロイヤルティ・マーケティング戦略を同じ視座で管理することで、データ活用の速度と精度が向上し、顧客との関係構築がより機動的に行えるようになる可能性がある。
Renascenceの視点
役職の新設そのものよりも重要なのは、どの機能が誰の傘下に置かれたかという組織設計の選択である。Kohl'sがデジタルとCXを同一人物に委ねた判断には、体験設計における実務的な思想が読み取れる。
多くの企業がCX責任者を「顧客の声を聞く役職」として据えるにとどまるが、Kohl'sの選択はより実務的だ。ロイヤルティ・パーソナライゼーション・マーケティングをデジタル基盤の指揮官に統合したことは、体験は技術基盤と一体でなければ機能しないという原則を体現している。顧客に本当に効くのは美しい理念ではなく、データとチャネルが同じ意思決定者のもとで動く仕組みそのものだ。CXを本気で経営課題とするなら、まず問うべきは「誰が権限を持つか」であり、肩書きの新設はその結果に過ぎない。
情報源
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