カスタマーサービス · 2026年8月13日
AIカスタマーサービスへの抵抗感、消費者の間で緩和進む(Metrigy調査)
米調査会社Metrigyの調査で、消費者はAIによるカスタマーサービス対応への抵抗感を弱めつつあるが、複雑な相談や金銭的リスクを伴う場面では依然として人間対応を求める傾向が強いことが判明した。
何が起きたか
調査会社Metrigyの最新調査を伝えた米メディアNo Jitterの報道によると、消費者はAIによるカスタマーサービス対応への抵抗感を徐々に弱めつつある。ただし、その受容度は一様ではなく、問い合わせの内容や利用するチャネル、そして解決が求められる問題の重要度によって大きく異なることが明らかになった。
報道では、単純な照会や定型的な手続きに関してはAIエージェントへの心理的抵抗が薄れている一方、複雑な相談や金銭的・感情的なリスクを伴うやり取りでは、依然として人間のオペレーターを求める傾向が強いと指摘されている。つまり「AIか人間か」という二択ではなく、状況に応じてどちらを選ぶべきかという判断軸が消費者の中に形成され始めている段階にあるといえる。
CXにとっての意味
この動きは、企業がAI導入を検討する際に「導入するかどうか」ではなく「どの接点にどう配置するか」を問うべき段階に入ったことを示している。行動経済学の観点では、人はリスクの低い判断は自動化された仕組みに委ねやすく、リスクが高まるほど人間による裁量や説明責任を求める傾向がある。カスタマーサービスにおいても同様に、問い合わせの「重み」によって最適な対応チャネルが変わることを示唆している。
サービス設計者にとっての課題は、AIと人間の役割分担をあらかじめ明確にし、顧客がその境界線を意識せずに済むような設計を行うことだ。境界が曖昧なまま自動化を進めると、些細な不満が信頼低下に直結しかねない。
Renascenceの見解
今回の調査結果で見落とされがちなのは、「AIへの慣れ」が進んでいるという表面的な事実そのものではなく、消費者がすでに状況ごとにAIと人間を使い分ける「暗黙のルール」を持ち始めている点だ。企業側がこのルールを言語化し、体験設計に反映できているかどうかが、今後の評価を分ける。
多くの企業は「AI対応率」を成果指標にしてしまうが、それは的外れだ。本当に測るべきは、顧客が自らAIを選びたくなる場面をどれだけ正確に見極められているかである。低リスクな定型対応にAIを配置し、感情や金銭が絡む場面には人への即時エスカレーションを保証する——この線引きを顧客に明示できている企業だけが、AI導入を信頼獲得の機会に変えられる。逆に、コスト削減目的で境界線を曖昧にしたまま自動化を広げれば、短期的な効率化と長期的な信頼損失を引き換えにすることになる。
情報源
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